ミッションメモ

ドラゴンパピーを六匹殺害し、ギガースを屠り、ファンゴサウルスに苦戦し、ドラゴニュート忍軍と死闘を演じ、ヴァルキリーにメイスを差し出す我ら盗掘チーム青蛙亭
都合三度のダンジョンアタックを終えて依頼人ミラボーの元へと帰ると、ドラゴンの逆鱗を触媒に魔王モレクを召喚していた。
《祝福》を使っておらず《陣形》も使用回数を一回残していた事から『あと一回くらいならガチバトルも耐えられよう』との判断で挑む我々。
しかし、誤算があった。《ディスコード》《マジックフォージ》《ボルテクスアタック》《ファイトソング》を全て使い果たしており、更にMAX状態のモレクを甘く見ていた。
思い返せば、ギガースはHP半減状態で戦い、ファンゴサウルスはクゼが対抗属性の呪文を持っていたから勝利したのだ。更に言えば前述の特技を使用しての勝利であったのだ。
戦塵が切って落とされると、あっと言う間に敗色濃厚に陥る盗掘チーム青蛙亭。オブシダンの《サモン・ファーブニル》もクゼの《ヴァイオレントウィンド》も決定打にならず、レイの《バッシュ》は命中の目が揮わない。
その上モレクの《バーサーク》《デスペラード》《ブルズチャージ》の前にはレイも息絶え絶えになる事が必定。かくて戦況は混乱と焦燥に包まれ、《ガーディアン》をも使い切ったその瞬間――最も計算高い女が、たった一つの冴えたやり方をとった。
なんとオブシダン(シーフ/サモナー)がモレクにエンゲージ! 《ブルズチャージ》からレイを庇ったのだ! 卓は大いに盛り上がり、加熱するエリンディル世界! 見よ! ラインは赤く萌えている!
献身と犠牲は奇跡を呼び、フェイトも《ダンシングヒーロー》も尽きていたにも関わらずに命中する《インビジヴルアタック》《バッシュ》!! ボディブローのようにモレクのHPを削っていたクゼとオブシダンの魔法攻撃の甲斐もあって、モレクの巨体がついにラインの街に倒れ臥し、盗掘チーム青蛙亭は凱歌に包まれたのであった。

とまぁ、ミッションを終えてレベルアップやら買い物やらに勤しむ青蛙亭。二度目の竜の巣へのダンジョンアタックを終えた辺りで買った護りの剣の分も合わせて、レイのアルリラに借りている借金は2200G。報奨金やらドロップ品など、諸々を合わせた収入は10000Gを越えていた。
――にも関わらず、セレスチュアルソードとシルバーローブ、深紅の腕輪に名馬、異次元パックを購入するレイ。所持金は見事に2G。楽しいドレイ生活は、まだ終わらない。