好きな曲を5曲

◆『Time』(B’z)
 中学生当時オリジナルの小説を初めて書いていたのですが、クライマックスを思い描くきっかけとなった曲。今でもこれを聞くと自分の中でそのストーリーとクライマックス、そして結局書き上げる事が出来ずに消化不良となって未だ燻っている後日談が沸き起こるのです。
 歌詞の内容も破れた恋とも砕けた愛とも付かない想いを胸に、延々と負けロールを繰り広げる内容で素晴らしく、またそれが決して取り戻せないのだという雰囲気が如実に伝わって来るのが堪りません。腐っていく自分を湿っぽく歌うのではなく、キラキラと輝いている思い出が日常のそこかしこから顔を出して来るのを眩しく思いながら、それらの残滓から逃げる事も出来ずにただ立ち尽くす。
「どうすれば時が戻る」「どうすれば時が過ぎる」「今どこで何をしている」
やがて顔を上げ、やっと前を向うと足を踏み出したとしても、ただ海は広がる。苦悩や郷愁に翻弄されようと、悠久の時の流れにとってそれは刹那の瞬き。幾星霜をたゆたう自然はただ、そこにあるだけ。


◆『ハルジオン』(BUNP OF CHICKEN)
 冬眠中の熊さんに教えて頂いた曲で、熊さん曰く「田宮っぽいイメージ」。 まぁ、当時の色々とかを思い出したりログを読み返したりしながらこの曲を聴くと、色々と凄いことになります。*1 意味がわかる人は笑い、わからない人は放置しておいて下さい(笑)


◆『Dash! To Truth』(不明)
 残念ながら歌い手さんが誰かは解らなかったんですが、大番長アリスソフト)のOP曲。大番長そのものはやってないんですが、ひたすらにカッコよかったので必死にフルバージョンを探してDLした覚えがあります。今でも聞いてはShade氏の音曲とHIRO氏の歌詞に酔い痴れます。や、この歌い手さんの歌声も絶頂素晴らしくて総合的に見ても失禁ものなのですが。


◆『光の中へ』(坂本真綾)
 天空のエスカフローネにバカハマりしていた時期、この曲とともに瞳がガイアから地球に帰るシーンは不覚にも泣いてしまいました。『約束はいらない』が坂本真綾にハマった原体験なのでそちらを上げようかとも思ったのですが、インパクト以上に染み入った印象を推す事に。


◆『残酷な天使のテーゼ』(高橋洋子)
 最早説明不要。でも書く。エヴァンゲリオンという作品に対してテキストを書くという行為自体が、恐らく生涯で初めての事だろう。当時中三だか高一だったか辺りの時分、リアルタイムで見れずにヤキモキしていた。見始めたのが19話だかそこらで、レイが自爆した話だっただろうか。ある意味ロボットアニメとして見るには遅過ぎるスタートである。にも関わらず、ぐいぐいと引き込まれた。既にTRPGを始めており、世には到底出せない程度の出来とはいえオリジナルの小説に手を出していた頃でもあった為に、自らが考えていた構想に酷似していた事に驚き*2、そしてその構想なんか凍結させて画面に惹き込まれた。
 圧倒的に格好いい絵。叩き付けられて来る情報量。見たことのある、そして見たことのない演出。ここまでやれるのか。やっていいのか。違う、そんな際をオレが歩きたかったのに。最終話を見る前から、予感がした。この先、何を書いても何をしても、この作品の枠を踏み越えるような物を作れないのじゃないだろうか。きっと「エヴァのパクリ」とレッテルを貼られるに違いない。
 見るのをやめようかとも思った。そうすれば、エヴァの後を追わなくて済むだろう。そうしなければ、オレはきっとエヴァの後を追ってしまうだろう。けれど、それは無意味に思えた。どうせエヴァの後姿を捜さなくても、自分の発想がエヴァを超えるかどうかとは全く関係がないのだと。
 そして最終話、トドメを刺された。間違いなく、これは超えられない。踏襲することにも意味がない。エヴァンゲリオンにしか出来ないこと、をやり抜いた。やりきった。これは、どんな後継作にも汚されないだろう。まさにエバーグリーン。
 あれから10年が過ぎた。無数の後継作が世に生まれ、消えて行った。どれも素晴らしく、けれどどれもエヴァを超えたとは言い難い。並びこそすれ、超えられない。
 ――あの日凍った構想は、未だ身動ぎ一つしない。

*1:オレが

*2:無論、そんな構想など及びも付かない完成度を見せ付けられていたのだが